震災の記録(1)
少しずつ書き残していこうと思う。
6月18日(月)
午前7時58分。
私は眠っていた。月曜日は仕事が休みなのである。
しかも、最近やけに眠い。寝ても寝ても疲れが取れない感覚を引きずった月曜日の朝だった。
振動で目が覚めた。下から突き上げられた。
まるで、怪獣が私のマンションの一室を揺らしているかのような揺れだった。
すぐに子どもたちの部屋に飛んでいく。
二人の子どもは無事だった。長男は家を出ている。
私のほうがパニックになっていた。何度か繰り返される揺れに対して叫んでしまった。次男が私の肩を抱いて「大丈夫やで」と何度も声をかけてくれた。
家の中はめちゃくちゃである。
足の踏み場もない。
とりあえず外に避難しなければと鞄を用意していると、末っ子が「お母さん!」と呼んだ。
「お湯が出てる!!!!」
玄関横に合った電気給水器からお湯がこぼれだしていた。
上のほうが湯気で曇ってきた。
廊下は熱湯で満たされてきていた。
慌てて布団を廊下に敷いた。
これで逃げられるか?
私はすぐに冬用のブーツを履き、靴だけでも上に置かなければと
崩れた靴箱から靴を取り出した。
玄関の外から変な音がした。
じゃーじゃー言ってる。
外に出て、驚いた。
エレベーターは当然止まっている。
その横に内階段があるのだが、その上から水が落ちてきていたのだ。
すごい音だ。マンション全体の給水塔が壊れたに違いない。
私の家は7階だ。
逃げるには非常階段しかない。
恐怖で胸がいっぱいになってくる。
今から余震が来たら!と思うと、居てもたってもいられい。
外から息子たちに叫ぶ。
「水が落ちてきてる、逃げるの、早く!!」
そして、同じ階の人たちに声をかけて回った。
水が来ています、逃げなきゃ!
私は、半袖と半パン、ブーツと言う奇妙な服装だったけれど
そんなことにも構っていられなかった。
一刻も早く階下に逃げたかった。
貴重品だけ持って、息子が出てくるのを待った。
その時間の長かったこと。
(つづく)