尽くさない
ある時から、私は、人に尽くさない人間になれました。
それまでは、頭で考えないようにしていても、無意識に「これしたら報われるかなあ」って期待してたんです。
これぐらい頑張ったんだから、元夫が気持ちを変えてくれるんじゃないかとか。
こんなにしてるんだから、子どもはわかってくれるはずだとか。
全部全部独りよがりでした。
世の中には「報われるために頑張るマニュアル」が溢れているように思えます。
夫を改心させるためには、とか、子どもを〇〇にするには親がどう頑張ればいいかとか。
私が尽くすのをやめたのは、ある日「私はその人のことをどう思っているのだろう」というのをとことん突き詰めた時でした。
報われたいから頑張ったの?って自分に聞いたんです。
そして、報われなくても頑張りたい?ってまた、自分に問いかけたんです。
そこから、私の行動は変化しました。
相手には何も期待しないけれど、私がやりたいことは全部やろうと。
「尽くす」のではなく、自分の気持ちを「現す」ことにしたんです。
「これぐらい頑張ったら」じゃないんです。
「この人への気持ちを現わすのはこれ」なんです。
何度も何度も「期待している自分」と闘いました。
「違うだろ?」って突っ込みながらやっていきました。
そしたら、不思議なことに、そういう心理状態が普通になっていくんですね。
最初は特定の人のためにやっていたことが、他の人にもそうなっていく。
相手を喜ばせるのは、相手に好かれたいからではない、私が「ありがとう」の気持ちを現したいから、という風に。
だから、どこにいても素のままでいられるようになりました。
自分の気持ちに正直でいればいいので、とても楽なんです。
昔なら「相手のことを考えないのは冷たいのでは?」と思ったに違いありません。
そのことと、尽くさないことの違いって、ここで書けるだけの技術は私にはないのが辛いです。
人を追いかけるような心理状態がなくなって、落ち着いて自分自身の中にいられるようになりました。尽くさないというのは、人を信じることでもあります。
とても怖いですよ。ずっと尽くすことでしか生きてこなかった私にとっては。
でもね、今のほうが心地いいです。
人に何かをしてあげた結果だけで見ないことです。
積み重ねてきた会話、笑顔、やりとり、そのすべてが人と人との関係なのです。
人を変えようとして、人の心に取り入ろうとして何かをしても、それは一時的なこと。
それよりも、日々気持ちのいい笑顔で、気持ちのいい会話をしていれば、それだけでいい関係は作れるのだし。嫌いな人にまで笑顔を無理して作ることもありません。
そして、つながっていたい人間関係を保つためには、自分自身が常に整っていることがとても大切なのです。
一度絆を作れば、不機嫌になろうが、泣こうが、関係は崩れないものですけれど、私はできるだけ、相手の心に「いいもの」を届けたいので。嘘のものではなくて。
あ、今閃いた!
「相手が変わるコト」「関係が変わるコト」が第一目的ではなくて「相手に喜びを届けること」だけが目的になる。それが尽くさないということかな♡
だから、何もしたくない時はしない~(笑)それでも、人は去っていかないです。
するとね、「なんでわかってくれないの」「どうして変わってくれないの」というジレンマから脱出できる。「私の喜びの表現を受け取ってくれてありがとう」の毎日になります。そして、相手の表現がとてもよく見えるようになり、例えば、カフェの店員さんの笑顔がそのまんま受け取れます。一日嬉しいですよ、それだけで!
自分の気持ちが乗る乗らないがとても大切ですから、日常生活で違和感をなくすように努力はします。嫌なことは早めに解決しますし、言いたいことも我慢せずに伝えます。
だからって喧嘩腰ではないですよ。言わなければならないことだけを言う。おべっか使わない。自己主張はいつもする。嫌いの自己主張も好きの自己主張も、実は同じですから、嫌いの自己主張ができないと、好きの自己主張も中途半端になるんじゃないかしら。
そういうわけで、尽くさない女(笑)になりました。
もうすぐ春ですね。
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