風に吹かれて~誰のためでもない人生の記録~

つまづきながらも、楽しく生きているアラフィフの人生を日々記録したブログです。今、少し悲しいとか、辛いとか、思っている人に、少しでも笑顔になってもらえますように。

出産なんて単なる出来事に過ぎない

今日は寒くなりそうです。

みなさん、お気をつけて!

 

さて。

 

発言力の強い、影響力のある女性が

「出産して、女性の素晴らしさに目が覚めました」とか言うのって

ほんとに悪影響だよな、と思う。

 

子どもが産めない女性に配慮していないこともあるけど

それってつまり、「出産できた自分」というマウンティングの上に立ってることへの無自覚。

 

そして、自分ひとりの感情の垂れ流しをすることで

まるでそれが「こうなることが尊くて素晴らしいんだよ、そうなったらいいよ」というムードを創り出すことの害悪に気づいていない。

 

人生のイベントで自分が変化することはよくあることだ。

だけどそれは、決して「女性の素晴らしさ」ではなくて

単なる自分自身が変化するきっかけにすぎない。

 

そういう冷静な目を失って

「ほら、私の変化を見て!」と言ってしまったら

それはもう宗教になってくし誰かを窮屈にしていくかもしれないよね。

 

人が人を生み出すことは大きいことだ。

それは間違いない。

だけど、その生み出す側の性への取り扱いが軽い社会であることには問題がある。

そして、その単なる出来事を、賛美したり、ほら、素晴らしいでしょと言ってしまうことで、その生み出す側への扱いが軽いことを「なかったことのように」してしまいがちなことも忘れてはいけない。

 

産んだ後も人生は続く。

そして、子どもが育った後も人生は続く。

 

子どもを産んで、子どもが好きになった人もいれば嫌いになる人もいる。

それは千差万別だから、どんなに自分にとって良いきっかけになったとしても

「それは私だけに起きたことで、すべての人がそうではないかもしれない」と

きちんと思えるかどうかが大切なんじゃないかな。

 

女に生まれて幸せだと思えるような社会ではない。

もし、本当に女に生まれて良かったと思える社会なら

いちいち「出産は素晴らしい」なんて言わなくていいはずで

本当に満たされた世界なら「ありがたみ」を口にする必要がないんだよね。

 

いちいちそこに「幸せな感情になるはず」という付加価値をつけなきゃいけないのは

そうしなければ「あれ?幸せじゃないのかも?」と思ってしまう闇が隣にあるからだよね。

 

男が当たり前に幸せを感じなくても家庭生活の中で

誰かに家事をしてもらって生きてるのは

それが「普通」であって「男に生まれて特別な幸せ」だとも思わないような制度が整ってるからで、「オレって幸せだなあ」「男に生まれてラッキー」とも「想わなくていいくらいの幸せ」が普通にあるってことだ。

 

出産、子育て、家事が「女性の幸せを押し付けてくるもの」でなくなって

その出来事が、自分の人生のキャリアやお金や人生設計にまったく響かなくなった時

初めて本当に「女性としての幸せ」を感じられるのだと思う。

 

子どもが好きだろうが嫌いだろうが、自分自身であればいいし

それが人間の評価につながること自体おかしなことだし

いちいち「女性性を回復させなきゃいけない」という抑圧も酷いと思う。

 

回復させなきゃいけないほどの傷を負わせる社会である側面を無視して

「出産したら女性性を回復できますよ」という宣伝をするのは

めちゃくちゃ狂ったことだと思わないんだろうか。

 

この記事を書こうと思う前に書きたかったこととつながってるんだけど

スピの人ってやたら「自分の体験の特別性を物語にしたがる傾向」があって

じゃあ小説でも書けば?って思うんだけど

とにかく自分を主人公にした歴史を作ろうと必死になってる感じがするよね。

 

それってもう、引退した男性が、自費出版で自分史を出すのと同じメンタル。

自慰と同じ。

 

人間だもの、それも全然ありだし、そのおかげで病まずに生きていられるんだけど。

 

そうまでして、他者からの尊敬を得たい自分自身を客観視することも

たまにはしてみたらどうかしら?と思いまする。

 

そろそろ女性性がどうのこうのってのは、流行らないどころか、カッコ悪い話になりそうな予感。

 

身体の性差が制度の差に響くのはもう終わりにしなきゃ。

 

おっさん天国を支える女性にはなりたくないんだな、わたしは。

 

賛美するだけで命が救えるならそんな楽なことはない。

どんなに拍手しても、感謝の言葉を言われても

制度が整わなきゃ人は死ぬ。

 

この一年でよくわかったんじゃない?

それでもわからないってのは、それを幸せと呼ぶんだぜ。

 

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