戻る・・・旅
少しずつ秋らしくなっていく。
日が落ちるのも早くなり
家に帰り着く頃にはすっかり夜になっている。
昨日、本屋で買ったこれがとてもいい。
本屋に行くたびに気になっていたのだが
昨日、あまりにも落ち込みすぎて、自分に美しいものをあげたくて
ついに購入した。
ちょうど、新しい美容院を開拓して、購入した後で髪を切りに行ったのだが
そこはフォトグラファーと美容師を兼ねていらっしゃる店長さんがやっていて
店の中が撮影用にもなっているためか
雑誌に出てきそうな子供部屋をイメージできる内装になっていた。
「テンションあがりますね」と言ったら喜んでくださって
「インテリアお好きですか?」と聞かれた。
しばらくインテリアの話で盛り上がった後
「ファッション関係のお仕事ですか?」と聞かれた。
「いえ、違いますけど、服が好きってわかります?」と聞いたら「わかりますよ」と。
ほんとに何も言ってなかったから驚いた。
実は2,3日前のこと。
ぼーっと電車に乗りながら「どうして私は、こんなに服が好きなのに、たくさんの服を試せるような職場を求めなかったのだろう」とつらつら考えていたところだったのだ。
だから、あまりにタイムリーだったし、私が「そういう風に見えるようになっている」ことにびっくりしたのだった。
服装や小物にこだわりがあることを、見て褒めてくれる人に出会うことがめったにない(交友関係がどうしても違う方面だから)ので、そこは素直に嬉しかった。
自分の中のアートな部分(不器用だから何一つ作れないけど、審美眼だけはある気がする)を、自分で認めていっていいんだ、もっと出していいんだと思えた瞬間だった。
わたしは本質を見るのが得意で、大好きだ。
その人が纏っている表面的な部分はどうでもよくて、本気で大事にしているものを知りたいと思う。
それ故、本質を隠し隠して生きている人に対して、わたしはけっこう意地悪をしてしまうのかもしれない。
私自身が、生きるために身に付けた「私は真面目」「私に美容とファッションは向いていない」「ちゃらちゃらしたものは苦手」という嘘の自分を、誰かがいつか見抜いてくれないかと願っていたことも大きいだろうと思う。
真面目じゃないし、オシャレに興味津々だし、なんならコスプレやりたいし、ちゃらちゃらしたいし、遊んで生きていたいし・・・という私を誰かが引き出してくれないかと他力本願で(笑)。
それは自分が自分で認めないと、他人も認めてくれないのだけれど
おとぎ話の中には「あなたは、本当はこうなんだよね!今までよく我慢したね!私が認めてあげるよ」的なマスターや師匠や魔法使いが出てくるので、どうしても現実にもそういう人がいるんじゃないかって夢見てしまったのも事実。
実家での役割、結婚後の役割を十分に味わったのだから
そろそろ私自身に戻ろうと思う。
これは余談だけど、急に長男が小学生の頃のことを思い出したのね。
毎月一度、小児精神科医の元に行く。
予約してあるのに、必ず一時間以上待たされる病院で。
素直についてくる子じゃなかったから、コロコロコミックを買ってあげるからと言って、お昼ご飯も病院のおしゃれな食堂で食べたりして。
当時は、仕事を辞めて、マンションのローンもあって、一番下の子の保育料も払っていて、自分が仕事をしていた時に溜めていたお金を食いつぶすしかなかった。
だけど、必死で病院を探して通い、子どもを連れて行くためにおもちゃを買い、外食をし、明日のお金を心配しながら生きていた。
学校に行かないから、本屋で教材買ったり、パソコンで勉強できるソフトを買ったり、フリースクールに入れてみたりもした。
その頃のお金は全部遣ったんだ。それでも今、なんとかなってる。
子どものために時間とお金を費やして生活してきた時代がある。
自分のこと(鬱病だったり、親との葛藤を何とかしようとしたり)もしつつ、子ども優先でやってきた。
人と比べると、どうして今まで自分を表現できなかったのかと責めることは簡単だけど、そんなもん、最優先でもなんでもなかったんやからさ。私の人生は、これまでの日々があってこその人生だから、これでいい。
そしてこれから、残りの人生で、わたしはわたしに戻っていく。
いつからでも遅くないよ。